世界で一番似ている赤色
「おいっ!」
大和くんはワンテンポ遅れたらしい。
少し間があってから、小走りでわたしに追いついてきた。
「や、待って。信じられねぇ。てか急にそんなん言われても、受け入れられねぇよ」
少し頬を染め、てんやわんやした状態の大和くん。
でもすぐに我に返ったようで、
「お前、それで幸せになれんの?」
と青ざめた顔で聞いてきた。
「ん~……そうだねぇ」
彼の心配をふりきるように、わたしはその場でくるっと回った。
スカートのひだが風で膨らみ、どこまでも飛んでいける気がした。
今まで優にぃ以外に見せたことがない、一番の笑顔を大和くんに向けた。
「わたし、優にぃといるとき、すっごく幸せなんだ」
「…………」
「あ、絶対誰にも言わないでね」
大和くんは少しだけぼーっとしてから、自分の髪の毛をわしゃわしゃし出した。
そして、「ちょ、後でラインするわ」と言い、わたしを置いて走って学校へ行ってしまった。