世界で一番似ている赤色
わたしにとっては、今のこの気持ちは確かなものだ。
血がつながっているとか、いないとか関係ない。
この想いは誰にも何にも消せはしない。
「やめろよ。俺なんかよりいい男いっぱいいんだろ」
「うん。優を忘れようと思って他の人と付き合った」
そのことを伝えると、一瞬で優にぃは不機嫌な顔になり、
「は? おま、彼氏いんの?」
と、すごい剣幕で詰め寄ってきた。思わず後ろに引くわたし。
「ちょ、そこで怒るの? 優だって女の子と歩いてたじゃん! あの時」
「まあそうだけど。でももう別れてるよ」
「わたしも別れた。付き合っても優のことばっかり思い出しちゃうんだもん。せっかく彼氏できたのに全部優のせいだ!」
優にぃにも彼女がいたことがわかり、わたしまで嫌な気持ちになる。
突然、意味不明な怒りをぶつけられた優にぃは、目を見開きビビった顔になった。
「…………」
「…………」
お互い気持ちを落ち着けようと1回黙ることにした。
テレビの音と車のかすかなエンジン音だけが聞こえた。
優にぃは気まずそうに口を開いた。
「あのさ、なんで、俺なの?」
「え」
「血つながってるのに、おかしいじゃん」
「優こそ、おかしいよ。妹にキスしてきたもんね」
「だからもう会わないって頑張ったんじゃん」
「それ、勝手じゃない? まずは話し合えばよかったのに!」
再び言い合いが始まりそうになる。
優にぃは手のひらをわたしに向け、ストップの合図を出した。