世界で一番似ている赤色
「えっ……」
体が、心が、熱を帯びていく。
わたしの全部、優にぃに捧げたくなってしまう。
早く、唇をふさいでほしくなる。
もう、ダメだ。やっぱりわたしは……。
「自分がおかしくなるくらい、好き……」
半泣きでそう伝えると、「俺も」と彼の口が動いた。
「優……っ」
名前を読んだ瞬間、ようやく優しいキスが落とされた。
じんと体が熱くなり、涙が出そうになった。
でも、やっぱり彼はイジワルで、「ほかには?」と首をかしげた。
頬に手を当てられ、すぐ近くで見つめ合ったまま。
さすがにもう限界だった。
「無理……今はもう考えられないよぉ……っ」
ぶんぶんと顔を振ってから、肩を押して体を遠ざけた。
ぷいっと横を向くわたし。ぷっと笑みをこぼす優にぃ。
「綾、こっち向いて」
「ダメだよ。だって……」
「本当はもっとキスしたいくせに」
「……優のイジワル」
血のつながった兄に恋をすることは、おかしいこと。
だけど、好きな人と気持ちを確かめ合って、幸せに胸をときめかすこと。
これは、きっと、自然なことだ。