世界で一番似ている赤色

2








文化祭が終わり、疲れが押し寄せたのか風邪をひいてしまった。


お母さんに連絡してもらい、高校を休むことにした。



昼寝して起きると、すでに部屋は真っ暗になっていた。



「綾、大丈夫?」



ドアがノックされ、体を起こす。お母さんが部屋に入ってきた。


仕事から返ってきたばかりらしく、スーツ姿のままで。



「ん、だいぶ熱下がった」


「そう。さっき川瀬くんが課題プリント届けに来てくれたよ」


「え」


「上がってって言ったんだけど、断られちゃった。綾とは別れたから……って言って」



ぶるっと寒気がした。



わたし家の場所教えてないのに、どうして川瀬くんが……?


しかも別れたことお母さんに言わないでよ。



「ほんといい子なのに、どうして別れちゃったのよ~」


「まあ、いろいろあって」


「悩みとかあったら何でも言いなさいよ。あんた急におかしくなる時あるでしょ?」



お母さんは腕組みをして、わたしへと近づいてきた。


疑わしそうな目でわたしを見下ろした。



「この家族の中で、一番綾のこと分かってるのはお母さんなんだから」


「…………」



分かってる。本当に? わたしのことを。


わたしの本心を全く分かっていないくせに。


向き合おうとしてくれないくせに。



まあ、そう言ってくれる気持ちは嬉しいけどさ。



気持ちがもやもやしてきたため、ご飯まで少し寝る、と言って、わたしは逆側に寝返りを打った。

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