世界で一番似ている赤色
☆
「はーあ。そういうことだったんだぁ」
演劇部の部室のベランダで。朱里ちゃんは口を尖らせている。
噂は他のクラスにも回っているらしく、放課後になった瞬間、朱里ちゃんが教室に飛び込んできて、ここに連れてこられた。
彼女は、いじけているのか、怒っているのか、不機嫌な態度。
「あはは。わたしってキモいよね」
「そうじゃなくて、言ってくれなかったことに怒ってんの!」
「そりゃ言えないよ。幼なじみじゃなくて、本当のお兄ちゃんなんて」
そう伝えると、ふにーっと頬がつねられる。
いたいよぉ、とこぼすと、彼女はグラウンドを眺め、口を開いた。
「びっくりしたけど、あたし……綾ちゃんの気持ち少しだけわかるんだ」
「え……」
「あたしも初恋、いとこだったから。告ったらフラれちゃったけど」
えへへ、と照れ笑いを浮かべる朱里ちゃん。
今は彼氏と別れ、フリーになっている。大和くんとよくラインしているらしい。
引かれると思っていたのに、意外な反応だった。
わたしの真実を受け入れてくれて、こっちこそびっくりした。