世界で一番似ている赤色
お母さんは夜遅くに帰ってきて、次の日は朝早く仕事に行った。
顔を合わせないまま、わたしもいつも通り高校へ向かった。
「おはよう」
「おう、おはよ」
下駄箱で、朝練終わりの大和くんと会った。
「昨日、わたし川瀬くんに殴りかかるとこだった。止めてくれてありがとう」
廊下を進むと、半分くらいの生徒がわたしたちに視線を向けては、そらした。
「あ、ああ……」
大和くんは複雑そうな顔をしていた。
わたしの想いは受け入れられないと言っているけれど、それは彼なりに悩んだうえでの結論だ。
彼なりに真剣に考えてくれて、わたしは嬉しかった。
「ねえ、朱里ちゃんとは今、どうなってるの?」
「ぶぇっ! 何? あいつ何か言ってた?」
突然のわたしからの質問に、真っ赤になって照れる大和くん。
その様子に笑いながら、教室に入った。