世界で一番似ている赤色
「キャッ!」
痛みと重みにより体がよろけ、その場に崩れ落ちた。
キャーという悲鳴が響き、わたしを中心に女子たちが離れていく。
そんな中、ボールのバウンド音と、誰かが駆け寄ってくる足音が床から伝ってきた。
「はぁ、はぁっ、大丈夫?」
影に包まれ、はっと視線を上げた。
目の前にいたのは、心配そうな顔をした大和くんだった。
どうやら男子たちの試合中にボールが変な方向に飛び、それがわたしの肩に当たったらしい。
駆けつけてきてくれたのは嬉しい。でも、彼に頼ったらダメだ。
1人で何とかしなきゃ。
そう思い立ち上がったが……
「大丈夫。……つっ!」
倒れ込んだ拍子に膝を床に打った。ふくらはぎも擦った。
急な痛みが体に回り、息が詰まった。
「とりあえず保健室」
「ちょっ!」
すかさず大和くんに手首をつかまれる。
そのまま彼はわたしを引っ張って出口方面へと向かった。
「いいよ。1人で行けるから」
「悪い。俺がパス取りきれなかったから」
まわりの女子からの目線が痛い。
振りほどこうとしても、大和くんはずんずん先へと進んでいく。
おかげで足が痛いのに小走りになる。もう嫌。
結局、女子たちのヒソヒソ声を聞きながら、保健室へと向かうハメになった。