世界で一番似ている赤色
黒板には、再びこの前と同じ文字が書かれていた。
写真もまた貼られていた。
本当、しつこいな、あいつ。
何も言わず、大和くんと2人でもくもくと写真をはがした。
その様子が不服だったのか、
「うわ、ヘンタイ女が来た!」
とうとう川瀬くんが大声で野次ってくれた。
わたしが苦しむリアクションをそんなに見たいのだろうか。趣味が悪い。
「おい! やめろよ」
大和くんが川瀬くんにそう怒鳴ったが。
「お前も知ってたんだろ? その上で仲良くしてるとか、まじキモイわ」
と言われ、彼はひるんだ。
教室の中は、興味深そうに見ている人、無関心な人、引いている人、その他。
わたしは黒板消しを片手に、書かれた文字をさっさと消した。
そのまま教室の真ん中へと足を進めた。
一歩、また一歩、川瀬くんに近づく。
川瀬くんは座ったまま、楽しそうにわたしを眺めている。
うわ、顔こわ~、などと口にしながら。
彼のもとに到着した瞬間、
「……ひっ!」
――ぼふっ!
わたしは右手に持ったままの黒板消しを思いっきり彼の顔面にたたきつけた。