世界で一番似ている赤色
白い粉が舞う。わっ、と教室内がどよめく。
「げほっ、げほっ、なんだよ、元はお前が悪いんだろーが。俺のことダマしやがって」
顔についた粉をほろいながら、なおもわたしを責めてくる川瀬くん。
ふつふつと沸いていた怒りが爆発した。もう全部言ってやる!
「ダマしてない。川瀬くんとは合わなかっただけ」
「は……?」
「やたらキスしたがってきてキモいし、私服ダサいし、手汗やばすぎだし、束縛きつすぎだし、しかも、わたしの妹にも手出そうとしてるんでしょ? ヘンタイはどっちだ! あんたでしょうが!」
うわ、それキモーい。確かにそれ微妙かもー。
女子たちからヒソヒソ声があがる。
クスクスとした笑い声も教室のいろんなところで生じている。
「しかもこの写真、いつ撮ったの? わたしの後つけてきたの? この前もわたしの帰りつけてきて、急に大外刈りかけてきたもんね。やってることストーカーじゃん!」
感情が高ぶり、涙がでそうになる。
だけど、負けずに続けた。
「ずっと大好きだった、生き別れになったお兄ちゃんと再会して、ハグして何が悪いの? 別に認められようとは思ってないし、好きになっちゃいけないことくらい分かってる! 親にだって殴られたし、リスクも十分知ってる。あとはどうしようとわたしの自由でしょ?」
「はぁ? 意味わかんねーんだよ!」
ガタッと椅子を倒し、川瀬くんはわたしにつかみかかってきた。
キャーッと女子たちから悲鳴が上がる。