世界で一番似ている赤色







『父さんが帰ってくる。会いたいって言ってる』


『どうする?』



優にぃからラインが来たのは、放課後のこと。


お母さんの連絡により、お父さんがインドネシアから緊急帰国してきたらしい。



『会おう』




学校を出て、電車で優にぃの最寄り駅へと向かった。


いつもみたいにコンビニの中ではなく、彼は改札近くにいた。


学校帰りのようで、制服にリュック姿だった。



「制服での家デート。初めてだね」



そう笑いかけると、「緊張感なさすぎ」と言われ、こつんと優しいゲンコツを食らった。



お父さんは夜帰ってくるらしい。


ということで夜ご飯を作ることにした。


おばあちゃんが買い置きした野菜があるらしいため、スーパーでカレールーとお肉を購入。



「あぶないよ、そんなんじゃ指切っちゃう」


「え。どう持ったらいいの?」


「こう。左手は卵にぎる感じで、野菜抑えながら軽く丸めるの」



優にぃ家の台所で、2人で料理をスタート。


彼が野菜を切り、わたしが鍋で炒める係。


あまり料理をしない彼の手元はおぼつかなくて、はらはらしながらレクチャーした。

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