世界で一番似ている赤色
☆
『父さんが帰ってくる。会いたいって言ってる』
『どうする?』
優にぃからラインが来たのは、放課後のこと。
お母さんの連絡により、お父さんがインドネシアから緊急帰国してきたらしい。
『会おう』
学校を出て、電車で優にぃの最寄り駅へと向かった。
いつもみたいにコンビニの中ではなく、彼は改札近くにいた。
学校帰りのようで、制服にリュック姿だった。
「制服での家デート。初めてだね」
そう笑いかけると、「緊張感なさすぎ」と言われ、こつんと優しいゲンコツを食らった。
お父さんは夜帰ってくるらしい。
ということで夜ご飯を作ることにした。
おばあちゃんが買い置きした野菜があるらしいため、スーパーでカレールーとお肉を購入。
「あぶないよ、そんなんじゃ指切っちゃう」
「え。どう持ったらいいの?」
「こう。左手は卵にぎる感じで、野菜抑えながら軽く丸めるの」
優にぃ家の台所で、2人で料理をスタート。
彼が野菜を切り、わたしが鍋で炒める係。
あまり料理をしない彼の手元はおぼつかなくて、はらはらしながらレクチャーした。