世界で一番似ている赤色
「優、今のわたしの夢はね、家族みんなで仲良く暮らすこと。ほら、うちらってボロボロの家庭で育ってきたじゃん」
「あー……うん」
涙袋を浮かべ、切なそうな顔でわたしを見つめる優。
わたしは、しっかりした口調で伝えた。
「優はもうわたしの家族じゃない。でも、優も家族と仲良くやってほしい」
わたしはきみときみのお父さんの関係は壊したくないんだ。
だって、お父さんはお母さんと違う。
自分の心よりも、相手の心を素直に大切にしてくれる人。
優が不登校になった時も、まずは優を理解しようとしてくれた。
わたしがここにいた時も、久しぶりと喜んでくれた。
ピーッとご飯が炊けた音が鳴った。
構わず、わたしは続けた。
「あと、もう1つ夢があるんだ。好きな人とずっと一緒にいること」
優と同じだね、と笑い、わたしは彼と指をからめた。
指が強く握られては、弱められたり。わたしも同じ強さでその力に応えた。
お互いの愛情と不安が混ざり合っていく。
「わたしね、どっちも叶えたいんだ」
優のおでこに自分のおでこをくっつけた。
近い距離で目をじっと見つめ、わたしはこう伝えた。
「だから、上手くやろう?」