世界で一番似ている赤色







窓を開けると、海の匂いが吹き込んできた。


隣にはぴしっといい姿勢でハンドルを握る優がいる。



「綾、飲み物気をつけて」


「大丈夫だよ。ってぶほっ!」



紅茶を口に近づけると、車の揺れによりドバっとあふれ出してきた。


車は大きな橋にさしかかり、左右が海に囲まれていた。



「ごめん。揺れた?」


「ううん。もっとスピード出していいよ。風を感じたいー!」


「無理、初心者に無茶振りしないで」



優が運転慣れてきたって言うため、今日は初めてのドライブデート。


乗っているのは、初心者マーク付きの軽自動車。ローンで買ったとのこと。



優の仕事の話とか、一人暮らし資金貯めてる話とか、大和くんが朱里ちゃんと付き合い始めた話とか、有名大学にA判定が出た話とか、いろいろしゃべりながら目的地に向かった。



駐車場は込み合っていて、優が狭い駐車スペースに頑張って車を入れて。


ランチにしらす丼を食べてから、砂浜へと向かった。


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