世界で一番似ている赤色
「あー楽しかった!」
日が傾いた頃、駅に戻った。
地元方面行きの電車を優にぃと2人で待つ。
わたしたちと同じく帰路につく人が多くて、ホーム上には人があふれていた。
面白いアプリを教えてもらったり、バスケのコツを聞いたり。
楽しく会話をしていたけれど、優にぃはある方向を見て言葉を止めた。
「ん?」
わたしもその方向を見る。
家族連れやおじさんおばさんの隙間から見えたのは、高校生くらいの男女。
キャップをかぶった背の高い男子と、コーチジャケットをはおった茶髪の女子。
カップルらしく、手をつないでいた。
その女子の方と目が合いそうになった瞬間、
「綾、あっちの車両乗ろう」
と優にぃは言い、並んでいた列から離れ、ホームの奥へ向かっていった。
慌ててわたしもその場から離れ、優にぃを追いかけた。