世界で一番似ている赤色
早速、優にぃにラインで報告すると、すぐ返事が来た。
『サーヤちゃんか。かわいいね^^』
「え……」
何気なく返ってきた『かわいい』という言葉に、嬉しくなってしまう。
あだ名が可愛いってことだけど。
ベッドに転がり、その文字を眺める。
普段のわたしは地味なすっぴん顔だし、制服も規則を守った着方をしている。
優にぃと会う時だけは違う。メイクや服装を頑張ってしまう。
もともとは大人っぽくなった自分をアピールしたかっただけなのに。
優にぃの前では、今できる精一杯の可愛い自分でいたくなるのは、なんでだろう。
今日は珍しく、お母さんが早めに帰ってきた。
夜ご飯のいい匂いがドア越しに漂い、リビングへ向かった。
ご飯を食べている途中で、お母さんははしを置いた。
「綾、今度の日曜、予定ある?」
「ないよ」
「そう。じゃあお母さんと一緒に出かけよ」
いつもよりトーンの高い声。
わたしの心を探っているような、ぎこちない笑顔。
どこか裏がありそうな態度だった。