世界で一番似ている赤色
思わず、足が止まった。
友達2人も話をストップさせた。
「…………」
そのまま女子たちに追い越される。
わたしは何も言うことができない。友達2人も無言のまま。
お互い1回も目を合わせないまま、更衣室へと向かった。
その日の体育は円陣バレーで、普段なら誰かがミスをするとドンマイ! という声が行き交うのに。
わたしや友達がミスをした時は、「あーあ。せっかく記録出そうだったのに」という嫌味が飛んだ。
ここしばらく大和くんを徹底的に避けていた。
話しかけられそうになった瞬間、逃げるようにした。
同時にわたしへの嫌味や陰口は落ち着いた。
なのに、ターゲットがいなくてヒマになった女子たちは再びわたしに目をつけたのかもしれない。
授業後、みんな着替え終わって教室に戻ったのに、友達2人は更衣室から出て行こうとしなかった。
「あの……ごめんなさい。わたしのせいで」
後ろから彼女たちにそう話しかけると。1人は泣いて、もう1人はわたしをにらんできた。
「綾ちゃん、やっぱりダサいって思ってたんだ」
「え……?」
「サーヤってあだ名、オタクくさくて恥ずかしかったんでしょ!? 嫌だったら早く言ってよ!」
そう叫び、行こう! と泣いている方を促し、2人は更衣室を出て行った。