世界で一番似ている赤色
この公園は線路沿いに細長く広がっていて、改札方面から離れると次第に人の気配は消えていく。
謎のポーズを決めた彫刻や、薄暗い花壇の道を通り抜け、公園の奥へと進む。
空っぽの噴水へと続く石段に2人で腰をかけた。
「綾の制服姿、初めて見た」
急な呼び出しに怒っているかと思ったけれど。
優にぃはそう言って、いたずらそうな笑みを浮かべた。
ちなみに今のわたしは、もちろんすっぴんで、ひざ丈のスカートに学校指定の三つ折りソックス。
典型的なイケてない中学生って感じ。
「今日のわたし、ダサいでしょ」
自虐的につぶやくと、「ダサいっていうか、中学入りたての女子みたい」と言われる。
恥ずかしくて、頬をふくらませようとしたが。
優にぃに頬をきゅっとつねられた。
いたっ、と声を出すと同時に、彼から大きなため息が聞こえた。
線路を駆け抜ける快速電車の光が次々と流れていく。
全ての車両が通り過ぎたかと思えば、各駅停車の電車がゆるいテンポの音を響かせる。
ホームのアナウンス音が聞こえる中、優にぃは低い声でつぶやいた。
「この前から様子おかしいとは思ってたけど」
「う……」
「嫌なことあったらためないで少しずつ吐き出せよ。俺もこうやっていつも来れるわけじゃないし」
いつもよりも不機嫌な口調。
ビビったけど、隠しごとをすると彼はこういう態度になる。
ここで本音をぶつけなきゃいけないんだ。
優にぃなら受け止めてくれる。大丈夫だ。きっと。