世界で一番似ている赤色
「坂口綾さんが、今学期をもって転校することになりました」
終業式後のHRで、ようやくわたしの転校が発表された。
リアクションの薄い教室内。友達2人は気まずそうに顔を見合わせている。
「綾ちゃん、違う中学でいじめられないよう頑張って!」
「うちら心配だよー。もっと愛想よくしないと友達できないよ?」
帰り際、ことあるごとにわたしに嫌味をぶつけてきた女子たちがそう言ってきたため、
「アドバイスありがとう! 頑張るね!」
と明るく返してやった。
なにあいつー、調子乗ってるんじゃね? などという声が聞こえる中、急いで教室を出た。
「はぁ、はぁ、待って!」
そそくさと教室を出た友達2人のもとへ追いつく。
2人ともわたしと目を合わさないまま。
構わずわたしは想いを伝えた。
「サーヤちゃんって呼んでくれて、嬉しかった!」
わたしがいなくなるせいで、次はこの2人がターゲットになるかもしれない。
今、わたしにできることは、つながりを持ち続けることくらい。
短い間ながらも、会話したり遊んだりできて、嬉しかったし楽しかった。