世界で一番似ている赤色
晩ご飯はから揚げとほうれん草のおひたしだった。
お母さんと2人で食卓を囲む。
スマホは1日1時間までというルールと、来週の土曜日は仕事でいないという連絡事項を言い渡された。
お母さんはいわゆるキャリアウーマンで、平日はずっと仕事。
だけど、毎日わたしの夜ご飯を冷蔵庫に入れてくれている。
仕事忙しいの? と聞くと、まあね、とお母さんは視線をそらし答えた。
「だったらわたしがご飯作るよ」
「いいの。あんたは勉強しなきゃでしょ。スマホ買ったんだから約束守ってよ」
「……はい」
中2でスマホはまだ早い、とお母さんは渋ったけれど、
テストで10位以内を取り続けるという約束のもと買ってもらった。
せっかく優にぃと連絡を取る手段を得たんだから、この約束はなんとしてでも守らなければならない。
「そういえば、クラス替えあったんでしょ? どうだったの?」
日曜夜のニュース番組をBGMに、ふとお母さんは聞いてきた。
「どうって、別に普通だよ。久々同じクラスになれた子もいるし」
視線をテレビへとそらしながらわたしは答えた。
「そう? ならよかった」
お父さんと離婚してから、お母さんはたった1人でわたしを育ててくれている。
厳しいとこはあるけれど、感謝しているし、心配させてはいけないと思っている。