世界で一番似ている赤色
☆
駅を出ると大きな飛行機のオブジェが視界に飛び込んできた。
背の高い木々の奥には、雲一つない青空。
んー気持ちがいい!
「てい!」
両手を広げながらスニーカーで地面を蹴る。
優にぃと一緒にいることが楽しくて、気持ちも跳ね上がる。
「ちょ、何そのポーズ」
「離陸っ!」
「あははっ! 綾ジャンプ力なさすぎ」
わたしの飛行機ポーズが面白かったらしく、優にぃは笑いながらわたしにスマホを向けた。
少し歩くと、東京ドーム何個分かの広い公園がある。
早く行きたかったけど、なぜか優にぃは追い付いてこない。
ずっとスマホを構えたまま。
「って、それ動画!?」
慌てて彼のもとに戻る。
優にぃはわたしを撮ったまま、一歩、後ろへ下がる。
負けずにスマホに顔をぐっと近づけ、レンズとにらめっこした。
「あははっ、珍しいもの見つけた子どもみたい」
そう爆笑され、ぷーっと頬を膨らませながら彼から離れた。