世界で一番似ている赤色
公園内の庭園に入る。濃淡ゆたかな緑が日光に照らされている。
爽やかな風に包まれ、ワンピースが波のようになびいた。
「で、朱里ちゃんにコツ教えてもらって、自分で色々できるようになった」
今日のわたしはお団子頭。
頑張って肩下まで伸ばした髪の毛をアレンジするのがわたしのマイブーム。
教室でもわたしの髪型は評判がいい。
景色をまとうイメージで、小走りで砂利道を進むわたし。
優にぃはゆっくりと後ろをついてくる。
「優にぃ、こっちー!」
「…………」
石と土でできた階段をぴょんぴょんと下り、優にぃを待つ。
追いついてきた彼は、何か言いたげな表情をしていた。
「どしたの?」
「綾、学校楽しい?」
「うん、楽しいよ~」
そう答え、平らな岩に乗った。
足元すぐ先には池が広がっていて、鏡のように空やまわりの木々を反射している。
「そっか。よかった」
「え。うん?」
「前まではそばにいないとダメだって思ってたけど、今はそんな感じしなくなったから」
背中からかけられた声は、寂しさを帯びていた。
池をのぞきこむ。映し出された自分の姿が、そよそよと揺れている。