世界で一番似ている赤色
自転車置き場で、「実は私、T南目指そうと思ってるんだ」と、朱里ちゃんはこっそり教えてくれた。
T南は進学校のため、わたしも興味はあった。
「そうなんだ。実はそこ、わたしも気になってたんだ」
「本当? じゃ一緒に目指そうよ!」
目をキラキラさせている朱里ちゃん。
もし彼女と一緒の高校に行けるなら楽しみだし、安心だ。
でも、T南はそこそこ偏差値が高い。
勉強きらーいとよく口にする朱里ちゃんが、なぜ進学校を……。
「もしかして、彼氏?」と聞くと。
「おっ、綾ちゃん鋭い!」と言われ、肩を叩かれた。
朱里ちゃんの彼氏は1つ年上で、T南の1年生。
一緒に高校生活を送れるよう、必死に勉強する覚悟を決めたとのこと。
「ほぇ~ラブラブだね。いいなぁ~」
「えへへ、この前初めて家に行ったよ!」
「えっ? それって、2人きりになるってことだよね」
「そうだよ。当たり前じゃん」
軽い口調で朱里ちゃんはそう答え、自転車を走らせた。
彼氏の家で2人きり、かぁ。
付き合ってる仲だし、キ、キスとかしちゃうのかな。うわー!
妙なドキドキに包まれながら、わたしもペダルを漕ぐ。
「綾ちゃん顔赤くなってるよ」と言われ、恥ずかしさが増した。