世界で一番似ている赤色


ちなみに元のお父さんは高卒。中小企業の工場勤め。


もともとお母さんの方がたくさんお金を稼いでいたらしい。


しかし、子どもができてから逆転した。


産休・育休中は給料がなく、復帰しても時短でしか働けないため、お母さんの年収はめちゃくちゃダウンしたんだとか。



――まだ綾が小さいんだから、私の分まであなたが頑張りなさいよ!


――何度もしつこいんだよ。俺だって俺なりに頑張ってるんだ!



お父さんとお母さんはこんな感じでギクシャクしていた記憶がある。


結果、離婚へ。


わたしが大きくなるにつれ、お母さんは仕事に復帰していき、今ではマネージャーとやらになっているらしい。


ちなみに豊さんは、とある小さな会社の社長さんだ。



「ごちそうさまでした」


「綾。ご飯、残してるじゃない」


「お腹空いてないから」


「そう?」


「じゃあ澄花が食べるー!」



澄花ちゃんが家に来てから、お母さんはわたしへの関心が薄くなっている。


きっとわたしよりも出来のいい子どもができたからだ。

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