世界で一番似ている赤色
☆
「うわっ!」
恐る恐る開いた中間テストの結果通知。
信じられない数字が目に入り、慌ててぱたんと閉じた。
一応は学年250人中、30位以内をキープしていた。
なのに、今回は85位。前回のおよそ3倍。
まあいっか。お母さんわたしに関心ないと思うし。
結果も聞かれないだろう。そうタカをくくっていた。
しかし――
夕食後、お母さんは食卓にパソコンを置き仕事をしていた。
わたしは澄花ちゃんと一緒にドラマを見ている。
「綾、中間どうだったの?」
せっかくいいシーンだったのに、ふとお母さんに声をかけられた。
「結果、出たんでしょ? スーパーで速水さんのお母さんと会って聞いたよ」
「85位」
テレビ画面に集中したまま答えた。
こんな低い順位、今までとったことない。
さすがに怒られるかも、と急に不安になる。なのに。
「そう……」
お母さんはため息をつき、食卓へと戻っていった。
お互い、一度も目を合わせないままで。
「お姉ちゃん……」
澄花ちゃんが心配そうな顔でわたしを見つめていた。