世界で一番似ている赤色







「うわっ!」



恐る恐る開いた中間テストの結果通知。


信じられない数字が目に入り、慌ててぱたんと閉じた。



一応は学年250人中、30位以内をキープしていた。


なのに、今回は85位。前回のおよそ3倍。



まあいっか。お母さんわたしに関心ないと思うし。


結果も聞かれないだろう。そうタカをくくっていた。



しかし――



夕食後、お母さんは食卓にパソコンを置き仕事をしていた。


わたしは澄花ちゃんと一緒にドラマを見ている。



「綾、中間どうだったの?」



せっかくいいシーンだったのに、ふとお母さんに声をかけられた。



「結果、出たんでしょ? スーパーで速水さんのお母さんと会って聞いたよ」


「85位」



テレビ画面に集中したまま答えた。


こんな低い順位、今までとったことない。


さすがに怒られるかも、と急に不安になる。なのに。



「そう……」



お母さんはため息をつき、食卓へと戻っていった。


お互い、一度も目を合わせないままで。



「お姉ちゃん……」



澄花ちゃんが心配そうな顔でわたしを見つめていた。

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