世界で一番似ている赤色


服が乾くまで、Tシャツとハーパンを貸してもらうことに。


Tシャツはサイズが大きくて、着るとゆるめのワンピースみたい。


あえてハーパンは履かず彼の前に登場。



「じゃーん! 似合う?」



こういうスポーティーな格好もたまにはいいな~。


そう思いながら、彼に近づきくるりと一周する。



しかし、彼は顔をそらし「下も履きなさい」と命令してきた。ちぇ。



優にぃの部屋は、ベッドと机、ハンガーラックとタンスだけのシンプルな空間だった。


壁にはバスケのポスターとユニフォームがかかっている。



「ねーアルバムとか写真とかないの?」



そう聞くと、「あ、この前の体育祭のあるかも」と言って、彼は引き出しから紙袋を取り出した。



「クラスの人がチェキ持ってきて、いろいろ撮ってもらった」



中に入っていたのは、数枚の写真だった。


クラスメイトらしき男女に囲まれた集合写真、イケメン男子とのツーショット、2年B組と書かれたタオルを広げポーズをとる彼の姿。


カラフルなペンで書かれた『ゆーたんMVP!ありがとう!』『2-Bのイケメンズ』などという文字。



楽しそうで、少し複雑。


優にぃ絶対モテてるだろうな。



「そうだ。中学のアルバムは?」



この写真を見続けていると、優にぃと高校生活を送っている人たちに嫉妬してしまいそう。


というわけで、わたしと同じ年の頃の彼を見たいと思った。



しかし、彼は平然と「ないよ」と答えた。


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