世界で一番似ている赤色
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昔から友達は多い方ではないし、自分の考えを伝えるのも苦手。
優にぃと離れてからは、本音で話せる相手がいなくなり、自分の内向的な性格がさらに加速した。
「あー掃除だるっ。綾ちゃんあとお願いしていい?」
「え? あ、うん……」
クラスには目に見えない順位がある。
もちろん、わたしはクラスで下の存在らしい。
いわゆる上の人たちに逆らうと面倒なことになるため、頼まれごとがあれば引き受けるようにしていた。
「じゃあ後はよろしくー」「ねーどこ遊びにいくー?」
短いスカートの女子たちはわたしにモップを次々預け、教室から去っていった。
廊下や教室の隅から話し声が聞こえる中、1人モップを左右に動かす。
他にも男子の当番がいるけれど、楽しそうにじゃれあっているため、わたし以外手を動かしている人はいない。
床の掃除を終え、寄せた机たちを戻す作業へ。
他にも教室に残っている女子が数名いるけれど、誰も手伝ってくれる気配はなかった。
机の3分の1を戻し終えた時だった。
「は? まだ掃除終わってないの?」
ある男子にダルそうな声をかけられた。
「ごめん。急いで終わらせるから」
あまり関わりたくない人のため、目を合わせずそう答え、椅子をおろした。