世界で一番似ている赤色





男の2人暮らしの冷蔵庫。開けると、卵と牛乳、レトルトの麺やカレー。


家とは違って、作り置きの料理や、野菜やお肉などの生ものはない。


雨が降っているため、買い出しには行かず今あるもので作ることに。


これは腕が試されるぞ。



「すごいじゃん。俺スクランブルかゆで卵しかやったことない」


「邪魔しないの。あっちで待ってて」


「綾も料理できるようになったんだ」


「できるよ!」


「そっか。えらいえらい」



気を抜くと、すぐ子ども扱いしてくる。


キッとにらむと、怒った? とニヤリ顔になる。


もしかして、わたしの反応を楽しんでいる? しかし、彼の笑顔には勝てない。くそう。



テーブルには、少ない具材で作ったオム焼きそば。


さすがにスープを作る材料はなく、お湯でとかして食べる粉末タイプのやつを添えた。



「おいしいじゃん。ありがと」



まあ不味くなることはない料理だ。でも、そう言ってもらえると嬉しい。


わたしが半分食べる前に、優にぃはぺろりとたいらげた。



「綾、相変わらず食べるの遅いよね」


「いいじゃん。良かった点と反省点を考えながら、味わってるの。じゃないと次に生かせないじゃん」


「マジメか!」


「一応、わたしもお姉ちゃんになったから」


「へぇ」



ふと、今の家族を思い出しかけて、やめた。


優にぃとの時間は大切だ。余計なことは考えたくない。



「綾もお姉ちゃんになったんだよなぁ」



しかし、優にぃはしみじみとそうつぶやいた。


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