世界で一番似ている赤色


わたし、全然お姉ちゃんの役目を果たせていないのに。


澄花ちゃんと違って、何の取り柄もない。成績だって落ちている。



「妹ができる子すぎて、お姉ちゃんって感じしないけどね。親もわたしじゃなくて妹に期待してるし」


「別に気にしなくていいじゃん。綾は綾らしくしてればいいって」


「うーん」


「自信持てないのも綾っぽい。あははっ」


「あのさー真剣に悩んでるんだけど」


「じゃあ、これからもたまに遊んで息抜きしよっか」



そう笑いかけられると、反論ができなくなる。


去年とは違って、問い詰めてきたり、アドバイスをくれたりはあまりしてこない。


わたしが強くなったって思ってくれているのかな。


もちろん、わたしだって自分の意志を持ちたいと思えるようになった。



でも、たまに、じゃなくて、たくさん会いたい。


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