世界で一番似ている赤色
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駅前で優にぃとすぐ別れず、電車を何本か逃しながら話していたら、帰りが遅くなってしまった。
ただいま、とつぶやき家に入る。
お肉らしき香ばしい匂いがした。
恐る恐るリビングに入ると、お母さんと澄花ちゃんと豊さんがいっせいにわたしを見た。
「遅かったね。どこ行ってたの?」
お母さんにそう聞かれ、「友達と遊んでた」と答える。
「友達って誰?」
「えっと、朱里ちゃん。おたがいT南志望だから一緒に勉強してた」
「そう、ならいいけど。早く座りなさい。お肉冷めるよ」
お母さんは立ち上がり、私の分のご飯を盛りに行く。
その間に豊さんがこっそりと、
「お母さん心配してたんだよ。連絡くらいしなよ」
とわたしに話しかけてきた。
「ごめんなさい。つい勉強に夢中になって。テストの順位落ちたし」
「お姉ちゃん、最近寝れてる? 遅くまで明かりついてるし。大丈夫?」
澄花ちゃんまでわたしを心配してきた。
「大丈夫だよ。わたし夜の方が集中できるタイプだから」
というよりは、家族みんなが寝静まってからの方が、勉強がはかどる。
余計な声が聞こえなくて済むから。
「朱里ちゃんって子は成績いいの?」
「まあまあかなぁ。でも、朱里ちゃんとわたしの得意科目と苦手科目がちょうど逆だから、一緒に勉強したら教え合うことできる」
さっきまで優にぃと幸せな時間を過ごしていたのに。
わたしはどうしてこんな嘘をついているのだろう。
家族に心配された分、ずきずきと心が痛んだ。