世界で一番似ている赤色







放課後、朱里ちゃんをこっそり中庭に呼び出した。


彼女は「わざわざここ? どうしたの?」と戸惑いながらも、花壇のはじっこ、わたしの隣に腰をかけた。



「朱里ちゃんにお願いがあるんだけど……」



両手を合わせ、頭を下げる。



もしうちの親から何か聞かれたら上手く話を合わせてほしい、ってことと、


彼氏とのデートで出かける日は、わたしと一緒にいたことにしてほしい、ということ。



「うん、いいよ! あたしそういうの得意だし」


「本当?」



めんどくさいことなのに、あっさりOKしてくれた。


しかし、ほっと胸をなでおろしたのもつかの間。


朱里ちゃんはにやりと笑い、私の顔をのぞきこんだ。



「その代わり、理由教えてほしいな~」


「えっ!?」


「綾ちゃん、親に内緒で誰かとデートしてるってことでしょ?」



さすが恋バナ大好き女子、鋭い。



「ねぇ、誰? 誰? 誰? 綾ちゃんの好きな人、超気になる!」


「ぐぅ」


「それ、あたしも知ってる人? クラスは? それとも他校?」



目をキラキラさせわたしに詰め寄る朱里ちゃん。


確かに、お願いをする身だから、事情を教えなきゃいけないよな。

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