世界で一番似ている赤色


結局、絶対に口外しないことを約束させてから。


「えーっと、幼なじみのお兄ちゃんみたいな人。わたしが小3の時に引っ越しで離れちゃって、でも去年再会して、それから時々会ってる」


と、ところどころぼかして伝えた。



朱里ちゃんは「なにそれ、あたし全然知らなかったよ? もっと早く教えてよ~!」とぶーぶー言った後、


はっ! と何かに気づいたらしい。



「あー! わかった! ほら、仲良くなる前、あたしと駅前で会ったじゃん。偶然! 綾ちゃん転校してきてすぐの時だったっけ?」


「あ~そうだったね!」


「そっかぁ~あの時もデートだったんだぁ。綾ちゃんかわいくてびっくりしたもん。超仲良くなりたいって思ったし~」



ふわりとボブヘアを風になびかせ、朱里ちゃんは興奮気味に話す。



そういえば。あの時、偶然会ってから朱里ちゃんが絡んでくれるようになって、わたしは学校生活が楽しくなった。


ある意味、優にぃのおかげかも。


……って、優にぃじゃなくて、優、か。いや、ちょっと待って。うわぁ、呼び捨てするだけで、ボッと顔が熱くなるんですけど。頭の中で呼んだだけなのに。


これじゃ心臓が持たないから、心の中では優にぃと呼んでおくか。



「で、写真は? あるよね?」


「ふぇっ!?」



1人でどぎまぎしているうちに、朱里ちゃんからの尋問がスタート。



「そのリアクション、絶対ある!」


「ないよ~!」


「見せてくれないと、あたし、協力できないかも~。ほらスマホ出して!」


「えーっ?」



朱里ちゃんは全く引き下がる気配をみせない。


まあ、彼女は優にぃを知らないから見せても問題ないか。


ちょっとだけ、秘密を共有したいという思いも沸いてきた。

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