世界で一番似ている赤色

4








それから朱里ちゃんとお互いアリバイを作った上で、優にぃと会った。


本当に朱里ちゃんや美佳ちゃんと遅くまで勉強もした時もあった。


おかげで少しずつ成績もよくなり、無事T南への合格圏内に入った。


朱里ちゃんはまだギリギリ。美佳ちゃんもT南を目指すらしく、一緒に頑張っている。



「優にぃ、じゃなくて、優、待ってよ~」


「……はい」



人混みで優にぃを見失いそうになり、慌てて追いかける。


横目でわたしを見ながら、彼は手を差し出す。


つなぐと、必ず一度、目をそらす。


照れてるのを隠すような仕草がかわいくて、ぎゅっと彼の手を握りしめた。



「綾。くっつきすぎ。暑い」


「えへへ~。だって優がかわいいんだもん」


「俺が? どこが?」



わたしたちは出かける時、手をつなぐようになった。


本当にデートしているみたい。


ってかこれ、完全にデートって呼べる行為だよな。



「うわ、もうこんな時間かぁ」



優にぃといると時間の進みが早くなる。


カフェでだべったり買い物をしているうちに、もう夕方になっていた。



お腹がすき、デパートのレストラン街で食事をすることに。


オムライスを食べたため、「そういえば。綾のオム焼きそば美味しかったなぁ」と優にぃに言われ、

わたしは「また作りに行くよ」と約束した。

< 84 / 196 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop