世界で一番似ている赤色

このタイミングで、お母さんはわたしと向き合うことを決めたんだ。


ちょうどいいじゃん。



だったら――



「お母さん、安心して。わたし、お母さんが思うよりも強いから。成績下がってるけど、もう大丈夫。これからのわたしを見て。信じて」


「何を言って……」



反論する隙を与えないよう、冷静に言葉を投げかける。


お母さんが言葉を詰まらせている間に、ただいまー、と豊さんの声が聞こえた。



「お帰り、お父さん」



そう声をかけると、豊さん――お父さんは、びっくりした様子を見せながらも、「ただいま、綾」と返した。



「ずっとお父さんって言いたかったけど、恥ずかしかった。ごめんね。これからはちゃんと呼ぶね」



急なわたしの変化により、豊さんもお母さんも戸惑った顔になる。


大丈夫だ。わたしは正常だ。