世界で一番似ている赤色
しばらく無言で机を動かしていたけれど。
大和くんはやっぱりわたしが一番してほしくないことをしてきた。
「なー今日の掃除当番誰? 何で女子1人にやらせてんだよ!」
彼の大声が、教室に響きわたった。
隅にたまっている男子や、ベランダにいた女子の視線が集まる。
「たぶん俺?」「俺かも」「てか他の女子は? なんでいねーの?」
じゃれあっていた掃除当番の男子たちが、そわそわ動き出した。
彼らが机を動かしてくれたおかげで、ものの数分で掃除が完了した。
残っていた女子がわたしを見て噂話をしている。
嫌な予感がした。
わたしに掃除を押し付けた女子たちに伝わるかもしれない。
大和くんがわたしを助けたって。
「余計なことしないでよ」
本人にぶつける勇気が無くて、誰にも聞こえないよう1人つぶやいた。