世界で一番似ている赤色
「あ、お姉ちゃん……」
ノックをしてから澄花ちゃんの部屋に入った。
ビクビクした様子で、澄花ちゃんはわたしを見上げた。
「今日、大宮にいたんだ。遊んでたの?」
「ごめんなさい。澄花、お母さんがお姉ちゃんのこと心配してたから、つい……」
「それで、ついチクったんだ。わたしが男の人と一緒にいたって」
ニッコリと笑顔をつくり、澄花ちゃんを見つめる。
すると彼女は布団に顔をうずめ、泣き出した。
「澄花、ずっと1人だった。お母さんとお姉ちゃんができて嬉しかった」
「そう」
「なのにお母さんとお姉ちゃん、ずっとギクシャクしてて……離婚する前のお父さんとお母さんみたいだった」
「…………」
「もう家族がバラバラになるの、嫌だよぉ」
声を押し殺し、澄花ちゃんは泣き続けている。
しゃがんで、ぽんぽん、と頭を撫でてあげた。
わたしは、お姉ちゃんという鎧をつけて生きていくんだ。
「澄花ちゃん。これからはわたし、お母さんとお父さんと仲良くやっていくから」
「ふぇぇ?」
「澄花ちゃんはわたしの大事な妹だから。もう泣かせたりしない。安心して」
そう伝えると、うわーんと澄花ちゃんはわたしに抱きついてきた。