世界で一番似ている赤色
「……ふっ、ううっ、わたしも……好きだよ。すっごく、好き」
肩が震える。嗚咽がもれる。
まわりから視線を向けられたかもしれない。
知っている人が通ったかもしれない。
でも、彼はわたしが落ち着くまで、ずっと抱きしめてくれた。
ポケットに入れていたスマホが震える。
ゆっくりと彼から離れる。
きっと家族からの連絡だ。お母さんかな。
今日は澄花ちゃんの誕生日パーティーをする日だから。
優にぃの目が、うるんでいた。何かを言いたげな顔をしていた。
断ち切るようにわたしは笑顔を作り、彼に伝えた。
「じゃあ向こう行っても元気でね、"お兄ちゃん"」