世界で一番似ている赤色

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優にぃは、わたしにとって、血のつながったたった1人の兄だ。



両親が離婚したのは、わたしが小3で、優にぃが小5の頃。



もともとは、お父さんだけが家を出ていき、わたしと優にぃはお母さんの元で暮らしていく、はずだった。


しかし、優にぃはお父さんについていったため、4人家族は2人と2人に別れることとなった。



『寂しそうなお父さんの背中を見ていたら、俺がいないとだめだと思った。
その分、綾を1人にしたことに罪悪感を持っていた』



再会して遊びに行った時、優にぃはそう話してくれたことがある。


でも、お母さんから離れた理由はきっとそれだけじゃない。



お母さんと優にぃは仲が悪かった。



宿題を忘れた。授業中に居眠りしていた。テストの点数が悪かった。


先生から報告があるたびに、優にぃはお母さんに怒られていた。


わたしも給食を残したり、通信簿に『もっと積極的にクラスに参加しましょう』と書かれたりしたことはあったけれど、優にぃみたいには叱られなかった。



『どうしてこんな出来の悪い子になっちゃったの?』


『バスケ? そんなの続けてもプロになれるわけじゃないでしょ?』


『あんたがお父さんみたいにならないよう、お母さんだって必死なのよ!』



優にぃが怒られると、なぜかわたしが悲しい気持ちになった。


わたしが怒られているみたいで、涙が出た。


部屋でしょんぼりしていると、優にぃは決まって頭を撫でてくれた。



『俺、あんまり気にしてないんだよね。だって父さんはバスケ続けていいよって協力してくれるし、すげー面白いから』

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