【短編】君だけ見えれば、それでいい。
今まで溜め込んできたものが爆発し、道端だというのに、私は感情任せに甲高い声を張り上げた。優馬の端正な顔が悲しげに歪む。
「ごめん、アオ……」
「悪いと思ってるなら、本当のこと話して」
「…………」
「話してよ!」
優馬は目を伏せ、しばらくの間、深刻な表情で黙り込んでいたけれど、やがてゆっくりとうなずいた。
「わかった。言うべきかどうかずっと悩んでたけど、言うよ」
自分で『本当のことを話せ』と言っておきながら、その先の言葉を聞くのが急に怖くなった。
耳をふさぎたくなる気持ちをこらえながら、私はまっすぐ優馬を見上げる。優馬はぐっと拳を握り、大きく息を吸った。
「実は俺、両親から手術を受けるように言われてるんだ」
「手術……?」
優馬の口から発せられた思いがけない言葉に、一瞬、きょとんとする。