彼女の距離感に困る


「もちろんその後、友達とはすぐ仲直りしたわ。そしてまたあなたと目を合わせられるか、リベンジしにここへ来て……それが叶っても結局やめられなくなって、公園に来てアンタを待つのが日課になってた」



彼女が毎日のようにこの公園に来ていたのは……俺を待っていたからだったのか。

初めて知った、あの頃の彼女の思考。

重ねられた時間、ずっと不思議でいた疑問。

こんなにも時を重ねて、ようやく知ることが出来た。



「遠回りを、し過ぎたか」



もっと早く彼女に声をかけていれば。

もっと早く彼女と話せていれば。

もっと早く彼女のことを、今よりもっと知ることが出来ていただろうか。



「遠回りでもいいわ。これからもっと教えてあげる予定になったんだもの」



ニヤリ、いたずらな笑みをこぼす彼女は、もうすっかりいつも通りの彼女だ。



「あぁ、これからよろしく頼む」

「こちらこそ、これからよろしく。……トモキくん」

「……君にそう呼ばれるとむず痒いな」

「そのうち慣れるわ。ほら、デート行くとか、ね」

「グイグイ来るな……」

「嫌かしら?」

「いや……構わない、君らしくしていてくれ。……アキ、さん……」

「ふふっわかったわ」



彼女はそう言って、俺の手に手を重ねてきた。



「冷たいな」

「さすがにまだまだ春は先だからね」



これからもきっと、こうして何度も手を取り合って時が過ぎていくのだろう。

これから先、未来ではどうなるのか全く見当もつかないが、彼女と……アキと過ごす未来が楽しみだと、大事にしたいのだと、そんな決意で胸が熱くなった。









end.
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