彼女の距離感に困る


想定外だ。

プレゼントというものは、本人の目の前で開けるものなのだろうか。

そういった行動は想定外であり、一般女性がプレゼントを受け取った後の行動まで気にしている心の余裕はなかった。

ただ店で選ぶ際、彼女ならこれだろうと手に取り、最初のプレゼントがいきなり残るものではよくないのか、菓子の方がいいのか花の方がいいのか考えたが、結局このブレスレットの印象が強く、買ってしまっていたのである。

目の前で開けられるとなると、どんな顔をしていいのかわからない。



けれど



「……綺麗ね、これ」



彼女はどうやら喜んでくれた、らしい。

喜んでいる声が、聴こえる。

笑っている声が……。



「ふふっ」

「まて、なぜそんなに笑っている」

「アンタが似合わないお店入ってるところ、見てみたかったわ」



なんという女だ。



「ありがと」

「う……いや、あぁ」



反応の返し方がわからない。

慣れないことの連続で混乱が尽きない。

しかし、彼女が笑って喜んでくれているのならば……よかったのだろう。



「大事にするわ」

「それなら、よかった」



空を眺めながら、そう返した。

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