桜恋色
出逢いはトランペット
「桜重(さえ)~。アンタもとうとう来週で二十歳だねぇ~」
サークルの帰り道。
最寄りの駅から並んで歩くわたしたち。
クラリネットのケースを胸に抱えた瞳実(ひとみ)が、ニヤニヤした笑顔をわたしに向けてきた。
「はぁ……。落ち込むなぁ……」
無意識で口をついて出るため息。
右手に提げていたトランペットケースがやたらに重く感じる……。
「大丈夫大丈夫っ! 二十歳まで一人も彼氏出来なかったからって落ち込まない落ち込まないっ!」
こう言ってうなだれるわたしにキラキラした笑顔を向けてくるのは、園花(そのか)。
彼女の言葉が余計にわたしを落ち込ませる……。
イヤミじゃなく言ってるところが尚更。
ちなみに、
園花の肩掛けカバンにはフルートのケースが突っ込まれている。
「つーかっ! わたしは出来なかったんじゃなくて作らなかったの!」
声高らかに反論してみれば……、
「そりゃ……告白されても片っ端から断ってたら彼氏だって出来ないわよ」
「桜重ちゃん理想高すぎー」
瞳実の強い口調にぐうの音も出ない……。
サークルの帰り道。
最寄りの駅から並んで歩くわたしたち。
クラリネットのケースを胸に抱えた瞳実(ひとみ)が、ニヤニヤした笑顔をわたしに向けてきた。
「はぁ……。落ち込むなぁ……」
無意識で口をついて出るため息。
右手に提げていたトランペットケースがやたらに重く感じる……。
「大丈夫大丈夫っ! 二十歳まで一人も彼氏出来なかったからって落ち込まない落ち込まないっ!」
こう言ってうなだれるわたしにキラキラした笑顔を向けてくるのは、園花(そのか)。
彼女の言葉が余計にわたしを落ち込ませる……。
イヤミじゃなく言ってるところが尚更。
ちなみに、
園花の肩掛けカバンにはフルートのケースが突っ込まれている。
「つーかっ! わたしは出来なかったんじゃなくて作らなかったの!」
声高らかに反論してみれば……、
「そりゃ……告白されても片っ端から断ってたら彼氏だって出来ないわよ」
「桜重ちゃん理想高すぎー」
瞳実の強い口調にぐうの音も出ない……。
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