桜恋色
「…………」
椎名くんはわたしの声にも気付かず、まだ彼の背中を見つめていた。
「椎名くん?」
二度目の呼びかけで、椎名くんはハッとしたようにわたしを見下ろした。
「どうかした?」
「早く練習しましょうっ」
力無く笑って椎名くんがわたしの足を促した。
それにつられて足を進めるけど、
音楽室に着いてからも椎名くんはぼんやり。
トランペットの音にも一生懸命さが感じられない。
急に元気の無くなった椎名くんが気がかりで、
わたしは必死に話題を探した。
ふっと見上げた音楽室の壁に、
とある高校のブラスバンド部の定期演奏会のチラシが貼り付けられていた。
日付はちょうど明日。
この偶然、チャンスに変えるしかないね……。
「……合奏って興味ある?」
「合奏?」
最近トランペットを始めたばかりだっていうから、
今ってトランペットについて色々知りたいんじゃないかなぁ……。
なんて一人、不思議そうにわたしを見つめる椎名くんとチラシを交互に見ながら考える。
椎名くんはわたしの声にも気付かず、まだ彼の背中を見つめていた。
「椎名くん?」
二度目の呼びかけで、椎名くんはハッとしたようにわたしを見下ろした。
「どうかした?」
「早く練習しましょうっ」
力無く笑って椎名くんがわたしの足を促した。
それにつられて足を進めるけど、
音楽室に着いてからも椎名くんはぼんやり。
トランペットの音にも一生懸命さが感じられない。
急に元気の無くなった椎名くんが気がかりで、
わたしは必死に話題を探した。
ふっと見上げた音楽室の壁に、
とある高校のブラスバンド部の定期演奏会のチラシが貼り付けられていた。
日付はちょうど明日。
この偶然、チャンスに変えるしかないね……。
「……合奏って興味ある?」
「合奏?」
最近トランペットを始めたばかりだっていうから、
今ってトランペットについて色々知りたいんじゃないかなぁ……。
なんて一人、不思議そうにわたしを見つめる椎名くんとチラシを交互に見ながら考える。