桜恋色
本音
次の日。
放課後の河川敷でトランペットの練習をしていた椎名くんとわたし。
休憩がてらに近くのコンビニに飲み物を買いに行った帰り道で、
「あっ……」
中学の野球部が走り込みをしているのが見えた。
途端に、
「…………」
椎名くんの表情が堅くなった。
やっぱりおかしい……。
人気の少ないコンビニの裏道は静かで、
何となく気まずくなった空気がイヤでも漂った。
「椎名くん……」
それがイヤで、理由を聞こうと呼びかけたわたしに、
「俺、野球部でキャプテンだったんです」
一歩前を歩いてた椎名くんが、わたしに振り返ることなく語り始めた。
椎名くんは、小学校から野球チームでピッチャーをやっていたらしい。
中学校に上がっても野球部に入ってピッチャーを続け、キャプテンにまで抜擢された椎名くんは、
野球部の推薦で私立の高校に進路も決まっていたらしい。
「引退間際に肘壊して、使いモノにならなくなったんです。俺」
振り返った椎名くんは自嘲気味に力無く笑っていた。
それで一気に胸が苦しくなった……。
放課後の河川敷でトランペットの練習をしていた椎名くんとわたし。
休憩がてらに近くのコンビニに飲み物を買いに行った帰り道で、
「あっ……」
中学の野球部が走り込みをしているのが見えた。
途端に、
「…………」
椎名くんの表情が堅くなった。
やっぱりおかしい……。
人気の少ないコンビニの裏道は静かで、
何となく気まずくなった空気がイヤでも漂った。
「椎名くん……」
それがイヤで、理由を聞こうと呼びかけたわたしに、
「俺、野球部でキャプテンだったんです」
一歩前を歩いてた椎名くんが、わたしに振り返ることなく語り始めた。
椎名くんは、小学校から野球チームでピッチャーをやっていたらしい。
中学校に上がっても野球部に入ってピッチャーを続け、キャプテンにまで抜擢された椎名くんは、
野球部の推薦で私立の高校に進路も決まっていたらしい。
「引退間際に肘壊して、使いモノにならなくなったんです。俺」
振り返った椎名くんは自嘲気味に力無く笑っていた。
それで一気に胸が苦しくなった……。