桜恋色
気にしてない振りはしていても、



やっぱり陰口や知らない人にまで後ろ指差されるのは堪える……。



最寄り駅のホームのベンチで、



「ホントなの?」



瞳実が切り出した質問に、わたしは黙って頷いた。



一瞬、



驚いたように目を丸くする瞳実と園花に、


「付き合ってるんじゃない……。わたしが好きなだけ」



ちゃんと事実を伝えとく。



伝えたところで、大学生のわたしが中学生を好きなことには変わりない。



二人が隠そうとする戸惑いが、わたしの頭に重く溜まっていく。



しばらく黙ったまんまだったわたしたちに、



瞳実がゆっくりと口を開いた。



「あのさ……やっぱり中学生ってのはマズいよ……。響きがさ」



いつも歯切れの良い瞳実の口調が淀んでいるのは、



きっと言葉を選んでいるからだ。



「お互いが二十歳越えてたら、五歳差くらい周りだって何も言わないかもしれないけど……」



大学生と中学生のカップルに世間の目は温かくはないよ?



静かな声でわたしを諭す。


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