桜恋色
「わかってるよ……」



冷静に言われれば言われる程、自分の気持ちが恥ずかしいモノに思えてしまう……。



わたしだって、



きっと以前までなら、



大学生の女が中学生に恋してるなんて、



面白い話題として一緒になって噂してたかもしれない。



でも今は、



「わたしはただ……好きなだけなの……」



純粋に椎名くんに惹かれてるだけ……。



「桜重ちゃん……瞳実ちゃんは桜重ちゃんの気持ちまで否定するつもりじゃ無いよ?」



気がつけば、目から雫を零すわたしに、園花がハンカチを貸してくれていた。




「否定はしない。でも……アンタも相手も必要以上に傷つくのは目に見えてる……」



きっと、さっきの講義のことを言ってるんだ……。




「どうしても彼が良いって言うなら止めないよ」




瞳実がわたしのことを思って言ってくれたことは痛いほどわかる……。


正直、


さっきの講義みたいな場所で平気な顔をしていられる程、わたしは強くない……。



それに、



わたしの見えないところで、椎名くんも同じ思いするくらいなら、




わたしの感情なんか、蓋してしまえばいい。
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