ドSで腹黒な先輩に恋しちゃった
先輩は、俯いて、顔に影が出来ていた。
そのせいでどんな表情をしてるかは見えない。



「遼ちゃん・・・」



リョウでもなくハルカでもない、遼。
そう呼ぶ時は決まって真面目な時だ。



「俺、ずっと隠してたんだけどさ。
俺の名前の事なんだけど。」



左手で右手首を掴んでる。



先輩が不安な気持ちになった時にする癖。
でもこの仕草を見るのはすごく稀で。
普通のリサイタルでもコンクールでもあまりやらない。


そんな先輩が、今右手をぎゅっと握っているんだ。



などうした?どうして??
あらら。私、今、からかったつもりだったんですけど…



「本当は、ヨウじゃないんだ。俺。
俺は・・・・」



ゴクリと息を呑む。



「俺の本当の名前はサクラなんだ。
この名前がすごくコンプレックスで、小さい頃よくいじめられてたから、みんなにはヨウって呼んでもらってるんだけど。」



や、やってしまったー。
< 5 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop