予告動画
「なんで今さら猫のことなんて私たちに言うの?」
前園さんが問うと、ふたりは顔を見合わせた。
「……もし今日俺たちが死んだら、動画を再生してるのは森元だと思うから」
いつも威張っている武政の声が震えている。
「……どうしてそう思うの?」
私はおそるおそる聞いてみた。
先ほどまで楽しかった時間は消えて、もういつもの緊張状態になっている。あれだけ笑顔を浮かべていたちづもずっと私の後ろに隠れて、怯えたような瞳をしていた。
「あいつは人が死ぬことをなんとも思ってない」
友達だったはずの森元をあいつと呼んだ時点で、3人の友情なんて見せかけだったことが分かる。
「みんなにはさすがに黙ってたみたいだけど、幾田の自殺の第一発見者って森元なんだよ」
井口が付け加えるように話しはじめた。
「他校のヤツらを集めて学校の窓を全部割るっていう計画を立ててさ。それであの日は生徒たちが少なくなるまで残ってたらしい」
「え、でも救急車を呼んだのって、たまたま裏庭を通りかかった学年主任の先生じゃなかった……?」