予告動画
それから2日間、まるで嵐の前の静けさのように予告動画は送られてこなかった。
「溶けちゃうよ?」
「え、あ、本当だっ」
私はアイスクリームを急いで舐める。私の隣にいるのは前園さん。これからのことを話し合うために私から誘った。
なんとなく街を一通りフラフラして、いつもの公園へと立ち寄りブランコに乗ったところだ。
「今日、小島さんは?」
「声かけたけど用事があるからって……」
「そっか」
前園さんは私とは違って器用にアイスを垂らさずに食べていた。
前園さんとちづはあの夜に少しだけ話すことができたらしい。ふたりの気まずさが解消されたならよかった。
よかったけれど、またモヤモヤしたものが新しく生まれてしまっている。
「……前園さんは平気?」
「ん?」
「仲がよかった人たちがみんな……」
私はぼそりと小さな声になる。
「平気……じゃないけど、予告動画はまだ終わってないから悲しみにも浸ってられないよ」
そう言って前園さんがゆっくりとブランコを漕ぎはじめた。