予告動画



「私たちを呼んだのはそっちでしょ」


「いいだろ。どうせお前らは暇なんだし」


「だからって、バカ騒ぎをしてる姿を黙って見てるほど暇じゃないから」


そう強い口調で言い返すと、森元はニヤリと笑う。



「おいおい。そんなに怒るなよ。せっかくお前たちを招待してやったんだからさ」

「……招待?」


眉間にシワを寄せると、森元は勢いよく私の肩を組んできた。



「ちょ、なにするの?」


引き離そうとしてもビクともしない。森元は私の抵抗なんてお構い無しに、耳元でぼそりと呟いた。




「俺が死ぬっていうショーだよ」


……は?え?

今なんて言った?


森元は酔いそうなほど甘い香水をつけていて思考が鈍る。それでも考えて浮かんできたことは……。



「……まさか、自分の動画を見たの?」

すると、森元は再び口元を緩めた。



「ふ、はは。木崎って案外俺よりバカだよな」

「ど、どういう意味?」



問いかけたところで、「ふたりだけでイチャつくなよー」と、森元の仲間が茶化してきた。


すぐに私の肩から手を離した森元によって私は解放されて、続きの言葉は聞けなかった。


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