予告動画
「……ひぃぃっ」
「きゃあああ……!!」
息を吹き返したように悲鳴を上げる森元の友達たち。なにが起きたのか分からずに戸惑う人を無視して、当の本人はヘラヘラとしていた。
「ふ、あはは。ほら、やっぱりきた。超いてー!右腕ないとかヤバくね?これ全部俺の血だよ?はは!!」
まるで本当にショーでもしているかのように森元は笑い続ける。
「この場にいる全員で俺の動画を撮れよ。それで俺が死ぬとこSNSで拡散しろ」
そのために集めたんだから、と言わんばかりの口調で森元はみんなに呼びかける。
残虐な場面をいくつか経験してきた私たちでも目を背けたくなるのに、初めて血や腕が飛ばされていく様を見た森元の友達たちが冷静に動画なんて撮れるはずがない。
「な、なに言ってんだよ?これなんかの冗談だろ?」
「だ、だよね!その血もケチャップとかじゃ……」
現実逃避をするように、ひとかたまりになって怯えていた。
「あ?つまんねーこと言ってないで撮れよ。ほら、左腕も疼いてきたぜ」
森元がそう宣言したあと、さっきと動揺に左腕も空高く舞い上がり、ドサッと森元の友達の前に落ちた。