予告動画
「なにが正解でなにが不正解か分からない。私がしたことも、きっと正解じゃない。でも、いじめでここまで人の人生が狂ってしまうということ。人を傷つけるということは、憎しみと悲しみしか生まないってことをみんなに知ってほしかった」
幾田さんの声が詰まったのは気のせいじゃない。
「だから、木崎さん。さっき明恵が言ったように、木崎さんには重いものを背負わせしまうと思う」
「………」
「それでも、木崎さんには生きて、この一連のことを忘れずに伝えていってほしい」
夜が明ける。
生まれたばかりの太陽が顔を出す。
「木崎さん。私の願いを、どうか受け取って」
幾田さんの目から涙が溢れた。
ひとつのからかいが大きなものになり、みんなの心の悪魔が動き出してしまったあの日。
誰かがなにかを言っていれば。
誰かがなにかの行動をしていれば。
……違う。
大切なのは、誰かに任せることじゃない。
自分がどれだけいじめに向き合えるか。止める勇気があるか。
それを私だけはなく、私と関わっていくすべての人に教えていくことが、私の生かされた意味だと分かった。